建築業界では、国内だけでなく海外案件や外資系クライアント、外国人技能実習生とのやり取りなど、英語を使用する機会が年々増加しています。「英語が得意ではない」「TOEICの点数が高くない」という理由で、英語から距離を置いてしまうのはもったいないことです。
TOEIC535点や英検2級のレベルでも、業務で必要な英語を身につけることは十分に可能です。実際の現場で求められるのは、試験で測る“知識”よりも、「伝える力」と「対応力」です。
本記事では、建築業界で英語を“使える武器”に変えるための、実践的な学習法と勉強の工夫を3つのステップでご紹介します。
建築業界で必要とされる“リアルな英語”とは?
英語といっても、建築業界で必要とされる英語は、日常会話や映画のようなネイティブ表現ではありません。現場では、以下のような場面で英語を使用することがあります。
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海外製の建材に関する仕様書の確認
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外国人スタッフや実習生との作業指示・安全確認
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英文メールでのやり取り(納期・設計変更など)
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国際プロジェクトでのミーティング資料作成や図面注釈
このように、建築の専門用語や定型的な業務表現が中心であり、使用される英語は比較的パターン化されています。また、「話す・聞く」よりも「読む・書く」の比重が高く、口語的な英語力がなくても十分に対応できます。
大切なのは、「正しい文法」よりも「相手に伝わる内容」であることです。簡潔で分かりやすい英語を使い、意図がきちんと伝われば、それで十分に業務上の信頼を得ることができます。
「使える」英語力を育てる3ステップ学習法
英語を武器に変えるためには、文法やリスニング教材を網羅するよりも、「業務に必要な表現に特化した学習」が効率的です。以下の3ステップに沿って進めることで、実践的な英語力を無理なく伸ばすことができます。
ステップ1:業務で頻出する建築用語を重点的に覚える
建築の現場や図面でよく使われる英単語や表現は限られています。たとえば以下のような単語です。
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Beam(梁)、Column(柱)、Slab(スラブ)
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Elevation(立面図)、Section(断面図)
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Concrete cover(かぶり厚)、Reinforcement(配筋)
これらの専門用語を優先的に覚えることで、図面やマニュアルを読むスピードが格段に上がります。また、業務で使う頻度が高いため、自然と定着しやすいという利点もあります。
ステップ2:業務文書を素材にリーディング・ライティングを強化
英文メールや製品カタログ、施工手順書など、実務で使用される資料をそのまま学習素材として使うと、実践力が身につきやすくなります。重要なのは、「試験向けの英文」ではなく、「業務で実際に使われる表現」に触れることです。
たとえば以下のような英文が頻繁に登場します。
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Please see the attached drawing for your reference.
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The delivery is scheduled for next Monday.
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Please confirm the revised specification by tomorrow.
このような文例を何度も読み書きすることで、自然と業務英語が身についていきます。
ステップ3:音読・シャドーイングでリスニング&スピーキング力も底上げ
実務での英語使用において、「聞く・話す」が完全に不要というわけではありません。特に外国人スタッフとの簡単な会話や、海外プロジェクトのミーティングなどで、最低限のリスニング力やスピーキング力は必要です。
音読やシャドーイング(聞こえた音声を即座に復唱する練習)は、会話力の向上に非常に効果的です。建築業界の会話フレーズが掲載された教材や動画を活用し、短い表現から繰り返し練習することで、スムーズな応対が可能になります。
スキマ時間で実践!おすすめの教材と学習習慣
忙しい建築業界の中でまとまった学習時間を確保するのは難しいため、短時間で継続できる教材と学習習慣がカギとなります。
スキマ時間を活用する工夫
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通勤中にポッドキャストやYouTubeで建築英語を“聞き流す”
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昼休みにスマホアプリで単語や例文を確認
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図面やメールを読んだ際に、知らない単語をメモする習慣をつける
このような“ながら学習”や“反復学習”を日常に取り入れることで、無理なく英語に慣れていくことが可能です。
建築系英語におすすめの教材・メディア
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『建築・土木技術者のための実用英語表現集』
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YouTubeチャンネル「Engineering English」「B1M」などの建築系解説動画
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アプリ「Quizlet」で建築英単語を自作・共有
完璧を目指すよりも、まずは「毎日少しでも英語に触れること」を重視し、習慣化することが長期的な成果につながります。
資格より実務対応力を重視した英語学習を
TOEICや英検は英語力の目安にはなりますが、建築業界の現場で重視されるのは、実務を円滑に進めるための「対応力」と「伝える力」です。
TOEIC535点、英検2級というスコアでも、「業務に必要な英語に集中して学ぶ」「定型文を使いこなす」「翻訳ツールをうまく活用する」といった工夫を取り入れることで、十分に実務で英語を活かすことができます。
特に建築業界では、図面・マニュアル・メールなど、限られた場面での英語使用が中心であり、必要な語彙や表現もある程度固定されています。そうした特性を理解し、目的に沿った効率的な学習を行うことが、英語を武器に変える最短ルートです。
業務に英語を取り入れたいが、何から始めればよいかわからないという方も、まずは1日10分でも建築英語に触れる習慣を取り入れてみてください。
“できない”を理由にするのではなく、“今できること”を一つずつ積み重ねていくことで、確かな英語力と自信につながっていきます。
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